ビットコイン使用で得た利益は「雑所得」
2017年9月6日頃、国税庁の見解が発表
「ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。」
との見解が、2017年9月6日頃、国税庁が運営するタックスアンサーのサイトに掲載されました。
それまでは、インターネット上の様々な人の意見で、「雑所得」か「譲渡所得」のどちらかになるだろうと言われていましたが、これで明確になりました。
タックスアンサー上には、ビットコインとしか書かれておらず、イーサリアム、リップル、ライトコイン、ダッシュ、ネムなど、アルトコインと呼ばれるものに関しては不明確なままですが、ビットコインと同様の扱いであると考えられます。
具体的にはどうなるのか?
まず、ビットコインの売買を行った際には、
- 1BTCを、1BTC=10万円の時に購入し、1BTC=20万円の時に売却すれば10万円の利益
- 1BTCを、1BTC=10万円の時に購入し、1BTC=5万円の時に売却すれば5万円の損失
というようになります。
また、ビックカメラやメガネスーパー等では支払いにビットコインが使えるようになっていますが、1BTCを、1BTC=10万円の時に購入し、1BTC=20万円の時に20万円の商品購入に使用した場合は、10万円の利益として計上されます。
このような利益と損失を1月1日~12月31日までで合計し、仮想通貨の取引に要した経費(例えば、セミナー代やハードウォレット代等のPC周辺機器を購入した消耗品代、電気代、インターネット回線、書籍代等)を差し引いた額を差し引いた額が雑所得となります。
サラリーマンの場合は、雑所得の額が年間20万円までなら確定申告の義務はありませんが、
そうでない場合には、翌年の3月15日までに確定申告をする必要があります。
例えば、2017年1月1日~12月31日の所得の場合は、2018年3月15日までに確定申告することになります。
所得税は累進課税となっており、雑所得は総合課税となっていますので、給与所得や事業所得などと合算した所得額に対して、
- 195万円以下の部分に対して5%
- 195万円を超え、330万円以下の部分に対して10%
- 330万円を超え、695万円以下の部分に対して20%
- 695万円を超え、900万円以下の部分に対して23%
- 900万円を超え、1,800万円以下の部分に対して33%
- 1,800万円を超え、4,000万円以下の部分に対して40%
- 4,000万円超の部分に対して45%
となります。つまり、仮想通貨売買で多く稼いだり、サラリーマンで収入が多かったりすると、税率が高くなるということになります。これに加え、住民税がかかります。住民税の税率は収入がいくらでも10%で固定です。
雑所得は、株式や国内のFX取引などのような分離課税ではなく、損失の繰り越しや、分離課税のものとの損益通算はできません。
そのため、2017年は大幅に利益が出たが、2018年は損失だったという場合でも、2017年の税金はかかりますので注意しましょう。
ビットコインからアルトコインに交換する場合はどうなるのか?
ビットコインからアルトコインに交換、アルトコインからビットコインに交換、アルトコイン同士の交換などに関しては、
国税庁からは明確な見解が出ておらず、インターネット上の意見では、その都度損益を計算するという意見と、日本円に戻したときに損益を計算するという意見に分かれている状況です。新たな見解が出るのを待ちましょう。